店舗建築評論家 大高村源一郎氏による掲載物件評論 第1弾 ”空間分割がもたらす必然性とは?”
2016年5月26日
”空間分割がもたらす必然性とは?”
はじめまて。店舗建築評論家の大高村源一郎です。
このたび店舗ジャパンの掲載物件を評論していくという企画を依頼されて。
ネット上でざっと見させていただいた。
評論の対象としては大変貴重なアーカイブになっていて、いずれも力作、秀作揃いであるが一言二言、苦言も含め呈したいところも数多く。
私自身も楽しく論じさせていただきたいと思う。
そのなかで初回、ピックアップしたのは「調剤の設計施工(神奈川県内)」by株式会社日研
である。
とにかく目を引いたのは写真にある、この衝立である。
調剤薬局でこのような空間分割してしまうのは、はたしてあり得るのだろうか?
これはなかなか大胆である。
仕切ることによって生まれる利点は、まずプライバシーであろう。
病気によっては人に聞かれたくない病名や処方の内容があるであろう。
が、しかし病院のなかでの接客にここまで必要性があるのか?
この施工例を見る限り、なぜいままでその配慮がなされていなかったのであろう?と思えるほど答えはYESなのである。
日本古来からある屏風もそうだがちょっとしたしきりで空間性に意味と役割を関連できる。
それは新しいものではなくじつは日本人のもつ優れたアイデアの一つなのである。それをうまく活用した例だと思う。
その反面、おそらくスタッフ側の人員、オペレーションとの連携がかなりキチンとしていないことにはこのデザインは成立しないであろう。
運営側との理解あるコラボレーションが必要になるので、なにかと難題はあると思われるが、それを凌駕できる力強さを感じる。
衝立のデザインが斬新なので見慣れない感じで違和感があるが、社会の成熟、高齢化など、サービスの現場においてこのような空間を分割するという手法は、実はこの先どんどんスタンダード化していくのでは、と感じる。
一つの未来を感じされる施工例である。
by 大高村源一郎(店舗建築評論家)
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