リニューアル成功の秘策~売れるお店に変える(二回目)
2014年7月21日
設計者とのつきあい方
角田誠(つのだまこと) |
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いつ設計を正式に依頼するか
設計者と設計契約をすることで、業務報酬が発生します。それは、どの業務からになるのでしょう。
①改装の基本構想を確認するための打合わせ
②平面プランの提示
③パース(完成予想図)
①及び②の仕事までは、無料で行う場合が多いといえます。また、平面図だけでは、なかなか理解しづらいので、③パース(完成予想図)の提示を行う場合もあります。これらの提示された資料を参考にして、設計を依頼するか、を判断します。
ただ、設計者によって、業務報酬の範囲は、異なる場合もあります。無料での相談はどの範囲までなのかを事前に確認しましょう。同時に、設計の報酬についても、早い段階で確認しておくことが大切です。
信頼できる「設計・施工業者」に設計と施工を一括依頼する場合でも、設計コストをサービスさせるのは望ましいとはいえません。設計費と工事費を混乱させることなく、責任ある業務を依頼しましょう
情報と価値観を設計者と共有する
リニューアルにより、お店をどのように生まれ変わらせたいか、その基本構想を設計者との間で共通の認識を持ちます。その前提として、現在のお店の様態を理解してもらう必要があります。
次に示す内容を、設計業務をする前に設計者に伝えることをおすすめします。
○ 創業年及び最近の改装時期
○ 客単価と来店客数
○ スタッフの人員配置
○ 売れ筋商品(人気商品)と売り筋商品(利益を生む商品)
○ 店舗立地の特性と競合店
また、営業中の様子を十分に見てもらいましょう。熱心な設計者ならば、曜日や時間を変えて観察することもあります。
次に、現在の店舗運営から何が困っていて、どのように改善したいのかを伝えます。リニューアルは、「店舗改善の延長」ですので、その価値観を設計者と共有することが大切です。
設計は設計者まかせにしない
デザインについては、その「ヒント」を提示してみることをおすすめします。それは、「キーワード」や、あるいは「イメージ写真」で十分です。例えば、イメージに合った南仏の街並みの写真があれば、そこからデザインコンセプトが膨らむことになります。
デザインコンセプトが決まれば、素材、色、かたち、店頭の見せ方、ゾーニング(エリア分け)などの基本設計が進んでいきます。この段階でも、全てを設計者まかせにするのは、やめましょう。「なぜこの素材か」「なぜこのかたちか」を納得するまで確認します。設計者は、必ず、「お店づくりのストーリー」を描いているものです。そのシナリオを理解することが、リニューアル成功のカギといえます。
もし、自分と設計者の考え方に違いが生じた場合は、どう判断すればよいでしょうか。設計者は、「お店づくりのストーリー」を念頭に、トータルコーディネートを考えるものです。オーナーの一部変更の要望により、基本ストーリーが崩れてしまうと、ひとつひとつは正しくても、アンバランスなお店になる危険があります。「お店づくりのストーリー」はできる限り尊重しましょう。
また、設計プランが、現状のお店の「店舗改善の延長」になっていない場合は、設計者にはっきりと指摘して、修正を依頼します。その場合、変更はできる限り早めに申し出て、設計の手戻りを最小限にします。
設計プランの良否の、最終的な判断基準は、自分のお店をご利用される「お客様」のためを考えたお店づくり、ということを念頭に考えて、オーナーが決断しなくてはなりません。
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