リニューアル成功の秘策~売れるお店に変える(一回目)
2014年7月7日
設計者の選び方とつきあい方
角田誠(つのだまこと) |
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設計者選びはパートナー選び
お店をリニューアルした方、新装開店したばかりの店主さん、そういった方々のお話を聞く機会があります。「良い店ができた」と喜んでいらっしゃる方がある一方、「使い勝手が悪い」「思っていたのと違う」と渋い表情で本音を漏らす方は、意外に多いものです。
リニューアルは、大事業です。規模によっては、数百万円から数千万円の設備投資をすることになります。お店ができたあとに、「やっぱりこうすれば良かった」という後悔は、絶対に避けましょう。
そのためにも「設計者の人選」が重要です。設計コストは、総予算のうちの数%と考えられます。設計の占める比重は、リニューアル成功のうえで、大きなものがあります。
設計者を、リニューアルにおける、最も心強いパートナーとしたいものです。オーナーの構想をカタチにし、オーナーの立場にたって見積の内容検討、関係法規の確認、工事のチェックなどを行います。設計者には、オーナーと価値観を共有できる最高のパートナーを選びましょう。
設計者を選ぶポイント(その1)
では、どのような設計者に、自分のお店をまかせればよいでしょうか。
まず、設計者は、業種に精通していることが大切です。店舗設計者は、ほとんどの場合、自らの得意な分野を持っています。医師の世界でもさまざまな専門分野があります。たとえば、外科の医師のなかにもさらに細かく、症例や部位によって、専門が分かれているようです。店舗設計者も同様で、飲食店を得意な人、アパレルを得意な人、宝飾店、雑貨ショップ、理容美容などあらゆる専門の分野があります。
業種ばかりではなく、「和風」、「欧風」、「エスニック風」などのデザイン様式による違いもあります。
設計者の得意業種や経験を知るためには、手掛けた店舗の実例写真や資料を見せてもらうことが有効です。
特に物販店には、「商品知識」が不可欠です。商品の陳列方法やお客様の購買パターンを理解していなければ、売れるお店を設計することはできません。
オーブンフレッシュベーカリーの場合は、さまざまなパンのアイテム知識や機能性の良い店内レイアウト、効果的な陳列方法の提案などができることが大切になります。さらに、厨房設備では、製パン機器に関する知識やパン生地を乾燥させない厨房内換気の手法といった、電気、ガス、水道、空調など、あらゆる設備設計のスキルをもっていることが要求されます。
ベーカリー同業者からの紹介は、専門の設計者を正しく選任するうえで信頼できるものです。また、製パン機器メーカーや食材業者などの業界関係者の口コミ情報も参考になるでしょう。
設計者を選ぶポイント(その2)
次に大切なのが、設計者のコミュニケーション力です。
リニューアルにあたり、オーナーの「こんなお店をつくりたい」という思いを的確に理解できる人物(会社)を選びましょう。オーナーの店づくりの構想をより良いカタチにするため、すぐれた設計者は、オーナーとキャッチボールを繰り返すことで、価値観の共有を図ります。
設計者には、専門性に走りすぎて、これらのコミュニケーションを軽んじて、自己満足の設計を押し付けることもあります。それではオーナーにとって、店づくりの良いパートナーとはいえません。冒頭の「使い勝手の悪い店」や「構想と違う店」になるのは、このような場合に起こりがちです。
また、設計者の仕事には、「設計業務と監理業務」があります。「監理」とは、施工業者が設計プラン通りに工事を行うかをチェックする仕事です。この場合でも、設計者の施工業者に対するコミュニケーション力が重要です。すぐれた設計者は、設計と工事にズレが生じないように、あらかじめ施工業者によく説明し理解を求めます。それでも、不都合が生じた場合は、工事のやり直しを指示する場合もあります。どの場面においても、設計者のコミュニケーション力が重要です。
オーナーにとって、設計者のコミュニケーション力を推し量ることは簡単でないかもしれません。しかし、例えば設計者との会話の中で、こちらの質問や要望に対して的確に受け答えをしてくれるならば、話しやすい関係ができるでしょう。話しやすい関係を保ちながら誠実な業務の進め方をする人が、自分のお店づくりのより良きパートナーといえます。
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