リニューアル成功の秘策~売れるお店に変える(三回目)

2014年9月8日

施工業者の選び方とつきあい方

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角田誠(つのだまこと)

  • 株式会社第一店装 代表取締役
  • (電話044-222-3913 URL  http://www.dai1-t.com/)
  • 日本商業施設学会会員
  • 商業施設士
  • 一級建築士
  • 武蔵工業大学卒業
  • 商業施設の企画、設計、施工にて、「ベーカリーの店づくり」数百店に携わる。
  • 「江東区魅力ある個店づくり」「熱海市商工会議所店舗診断」制度などに派遣される。
  • (協)日本店装チェーン理事
  • 神奈川県ラグビー協会書記長などの団体役員として活躍中。
  • 成功するパン屋・ベーカリー開業WEB http://www.bakery-shop.jp/ 主宰

良い施工業者とは一生のお付き合い

 リニューアルの基本構想が固まり、設計が決まると、次は、施工業者の選定を行います。施工業者の選定はとても重要で、そのことに悩むオーナーは、少なくありません。お店というオーナーの夢を、かたちに造るのは施工業者です。

「思い通りのお店をつくってくれるだろうか。」

「業者のペースで店づくりが進まないだろうか。」

「コストは、世間の相場かそれ以下で抑えたい。」

などなど、オーナーの期待と不安はつきません。リニューアルのコストの大部分を占める施工業者の選択は、店づくりの品質に直結します。同じように見えるお店でも、「使い勝手の良い店、悪い店」「メンテナンスがすぐ必要な店、寿命の長い店」など、大きな違いがあるものです。

施工業者とのつきあいは、工事が完了したあとにも続きます。機械の入れ替えや、設備の点検、ちょっとした売場の模様替えなど、常にフレッシュなお店を保つために、リニューアルだけに限らず、施工業者との関係は欠かせません。自分のお店をよく理解している良い施工業者と長いつきあいをしたいものです。

 

「値切ると手抜きされる」という誤解

「工事費用を値切ったので、施工業者に手抜き工事をされた」というオーナーの言葉を聞くことがあります。しかし、そんなことは、決してありません。

もし、「手抜き」といわれるようなずさんな工事が、実際に見られたのならば、すなわち、その業者はレベルの高い施工をする経験と技術がなかったといって良いでしょう。

施工業者とは、技術レベル以上の仕事も、また技術レベル以下の仕事もできません。良い仕事ができる者(会社)は、良い仕事しかしたくないものです。

 だからこそ、「施工業者の選択」は重要なのです。

 

施工業者を選ぶポイント(その1)

 施工業者には、「工務店型」、「専門店特化型」、「大手施工業者」に分類できます。それぞれに特徴があります。自店の考えるリニューアルのポリシー、優先順位などにより、どのタイプの施工業者と相性が良いのかを検討します。

 「工務店型」の施工業者は、地場密着の仕事を基本にしています。比較的コストが低く、口コミでの紹介がメインなので、メンテナンス対応が良いという長所があります。ただ、住宅をメインに施工している会社が多いので、商業施設に詳しくないばかりか、ベーカリー店の専門知識は期待できません。経験豊富な設計者の監理による施工が望ましいですが、一方でオーナー自身が手間と時間をかけて、お店づくりを進めてくことにもなります。

 「専門店特化型」の施工業者とは、「ベーカリー」の店づくりを得意とする専門施工業者です。経験豊富で提案力があり、「設計+施工」の総合プロデュースが魅力です。この場合、企画(業態、規模、デザインなど)が自店の考えに調和すると、スムーズなリニューアルが可能になります。自分で手間ひまかけずに、すべてを任せることができて安心だという長所があります。短所は、見積を複数業者より比較検討することが難しいということでしょう。

 「大手施工業者」は、年間着工高が数10億円から数100億円ある有力企業です。施工経験は豊富で、動員力もあって安心感があります。ショッピングセンターなどの大規模商業施設の施工に強く、同じ施設に複数の店舗を工事する場合など、コストが安くできる場合があります。施工の良否は、担当者の裁量に左右される場合が多く、次回のリニューアルに担当者が変更になることも少なくありません。実際に工事をするのは、下請の業者である場合が多く、その技術に差があります。メンテナンスなど、キメの細かい対応が不得意な業者もあります。

 

 

施工業者を選ぶポイント(その2)

 

 

 次に、メンテナンス体制の整った会社を選ぶというのが、もう一つのポイントです。

 何かトラブルが生じた場合に、すぐに対応

をしてくれる業者は、オーナーにとって、とても心強いものです。大きなリニューアルの商談には積極的に乗ってくるが、大きな売上にならないメンテナンス作業の動きが鈍い施工業者は、利益至上主義の傾向があるといえます。メンテナンス作業を堅実に行う施工業者は、ユーザーであるお店に対して、誠実に目を向けているといえます。

また、地道なメンテナンス作業をする業者は、その作業を通じてお店づくりの有意義なノウハウを蓄積します。それは、次のリニューアルにおいて、より品質の高いお店づくりを可能にするといえます。