店舗建築評論家 大高村源一郎氏による掲載物件評論      第2弾 ”古民家2.0〜リアルな再生をめざして”

2016年11月15日

”古民家2.0〜リアルな再生をめざして”

ちょっとご無沙汰しておりました。店舗建築評論家の大高村源一郎です。

今回の店舗ジャパンの掲載物件の評論は古民家食堂 ゴハン旬シュン
http://tenpo-japan.com/works/3560/
である。

この物件紹介は、古民家再生である。

トレンドすぎるのでチョイスはいかがなものか、と思ったが、店舗ジャパンのページを分析してみるとなかなかの出来映えではないかと、ピックアップしてみた。

だいたいにして私は古民家再生などという言葉そのものが、実は一人歩きしていて、ぼろでも何でもよいから、古民家再生というだけで、満足しているのではないかと疑問を感じているのである。

本当に再生して、機能しているのかどうか、言葉にまどわされ、はなはだ疑問なのである。

今回、私用で茨城へいくことになり、運良くこの”古民家食堂 ゴハン旬シュン”に立ち寄ることができたのである。

百聞は一見にしかずである。

そして答えは ”機能していた” である。

写真にあるような大正ロマン風の佇まいに、シェフの大変超すパフォーマンスの良い料理、空間演出のセンスが、しっかりと調和していた。

”いじりすぎず、残さすぎず…” といったなんとも洗練された空間であった。

これを企画施工した店舗ジャパンのメンバーはさぞかし難儀であったろうと思慮し、事務局に問い合わせたところ。低予算、短期間の納期で、デザイナー氏と大変うまくコラボレーションして効率よくできたとのことだった。

ネットで古民家再生と検索するとなにやら敷居の高そうな建築が目白押しなのだが、このプロジェクトは、大変カジュアルな印象を覚える。

”古民家再生” だれでもやれる感じだが、そうは簡単ではないな、と感じた。

オーナー、デザイナー、施工会社ともトリロジーが相当に調和していないことには、なかなか困難であろう。

古民家再生とは演じれば演じるほど、ちぐはぐになる恐れがあるのではないかと思う。

古民家食堂 ゴハン旬シュンはなかなかの秀逸である。

by 大高村源一郎(店舗建築評論家)